【Interview & Report】鉄くずに怒りをこめて映画に託す――『鉄くず拾いの物語』ダニス・タノヴィッチ監督インタビュー&シンポジウムレポート
2013年のベルリン国際映画祭で最優秀男優賞を受けたのは、ボスニア・ヘルツェゴヴィナの寒村に住まう、演技経験のないある鉄くず拾いのロマ系の男性だった。男性の名前はナジフ・ムジッチさん。ロマへの差別と貧困のため、ムジッチさ
【投稿】『花火思想』について語るときに我々の語ること text 渡辺祐一
『花火思想』よりこんにちは。渡辺と申します。映画の配給・宣伝を生業としています。プロの物書きではありません。にもかかわらず、いまから『花火思想』という、たいへん魅力的な一本
【Interview】いとおしいもの、美しいものへーー『ちいさな、あかり』大野隆介監督・稲葉雄介助監督インタビュー
左:大野隆介監督、右:稲葉雄介助監督 静岡市郊外の山間、大沢地区という集落を舞台にしたドキュメンタリー『ちいさな、あかり』が1月25日から東京・ユーロスペースで上映される。東京造形大学の同級生である二人の若い映像作家が、
【Review】矛盾の中心でエロを叫ぶ 『プリンス/サイン・オブ・ザ・タイムズ』text 越後谷研
●魔法 プリンスはデカい! というのは、大きな間違いだ! 知ってるひとは多いかもしれないけど、プリンスの身長は160センチに満たない。一説には157センチ。爆笑問題の田中が154センチだそうだから…。え? 小っちゃ…。
【Review】マニアたちの幸福 〜映画『Room237』に寄せて text 鈴木並木
今さらながらではあるけれど、たいていのひと・もの・ことにはそれぞれマニアと呼ばれるひとたちがいて、常人には想像もつかないほどの時間やお金や情熱や才能をつぎ込んでいたりする。『ROOM237』は、5人のマニアたちがスタンリ
【Eassy】映写機とともに~『旅する映写機』に寄せて text 永吉洋介
永吉洋介さん 裏通りにある寂れた名画座であれ、最新のピカピカのシネコンであれ、スクリーンと座席だけの空間こそが映画館の中心であって、スクリーンの大きさやソファーの快適さ、完全入替制、自由席と指定席といった座席システムは話
【リレー連載】列島通信★山形発/映画祭の舞台裏〜YIDFF 2013閉幕 text 畑あゆみ
YIDFF2013 ウェルカムパーティーにて/エヴァ・ヴィラ監督(中:『ジプシー・バルセロナ』)と エラ・プリーセ監督(右『何があったのか、知りたい(知ってほしい)』) 提供:山形国際ドキュメンタリー映画祭 2013年の
【Interview】『ファルージャ イラク戦争日本人人質事件…そして』伊藤めぐみ監督インタビュー
『ファルージャ イラク戦争日本人人質事件…そして』。タイトル通り、イラク戦争下の2004年にファルージャで起きた日本人人質事件の、当事者の現在を追った作品である。 「イラクから3日以内に自衛隊を撤退させなければ人質を殺す
【Review】彼女と彼が、同じリングに立つまで――『キューティー&ボクサー』 text 成澤智美
この映画は、1組の夫婦、そして、二人の芸術家の物語である。 ニューヨーク在住40年の現代芸術家・篠原有司男、通称ギュウちゃん。日本、戦後のアートシーンにおいて、前衛美術家としてトップへと駆け上がったが、満を持して渡ったニ
【Review】国映新作『1BR-らぶほてる』(監督・大西裕)text 井上二郎
© INTERFILM/KOKUEI その部屋には一組の男女が横になっている。見覚えがある部屋だ。一目でわかる。その類いの部屋が私たちに与える印象は極めて複雑なものである。「高級」でも「二束三文」でもなく、それで
【Review】批評家養成ギブス「批評コンペティション2013」優秀作発表!
映画美学校へ場所を移してから2期目となる「批評家養成ギブス」。批評家の佐々木敦氏が主宰する、文字通りの実践的な批評講座である。今期は2013年7月に開講し、12月をもって半年にわたった全講座が終了した。東浩紀、四方田犬彦
【リレー連載】列島通信★大分発/SNSと映画館 text 田井肇
大分『シネマ5』ホームページ 間もなく2013年が終わろうとしている大晦日にこの原稿を書いている。前回(5月)この通信に、「日
【Interview】その人の立つところで撮る――『はまゆりの頃に 三陸、福島2011~2013年』田代一倫さんインタビュー
カメラを抱えて単身、震災の被害を受けた三陸・福島へ。2011年から2年にわたって東北へ通いつづけた写真家と人びととの出会いは1200を数え、453点のポートレートとなって写真集に編まれた。そのすべてが人びとの全身を収めた
【Review】『アイ・ウェイウェイは謝らない』 「世界の中にある中国」「中国の中にある世界」への挑戦 text 松井茂
『アイ・ウェイウェイは謝らない』より ©2012 Never Sorry, LLC. All Rights Reserved どういうわけか、僕は、アイ・ウェイウェイの書評をこれまでに2度書き、今回ドキュメンタリー映画『
【Review】牛腸茂雄関連短編上映会 text小林由美子
東京・恵比寿 MEM 2013年10月19日、恵比寿NADiff A/P/A/R/T 2階 MEM。 日中はまだ暖かいけれど夕方になると急に寒くなる。「こんにちは、最近冷えてきましたね」「こんにちは、そうですね。もう冬に
【PickUp】特集★山形国際ドキュメンタリー映画祭「わたしのヤマガタ2013」
10月に開催された山形国際ドキュメンタリーの体験記を募ったところ、数名の方から貴重な寄稿を頂いた。今年の“ヤマガタ”に関しては既にいくつかの記事が掲載されているが、今回は、観客やボランティアという立場で映画祭を体験した方
【Review】光の系譜の終焉に向けて――「森村泰昌 レンブラントの部屋、再び」展 text 影山虎徹
森村泰昌の作品を観ると、思わず笑みを漏らしてしまう。展示会ともなると壁一面に展示された作品の全てに作者がいるという光景には独特の趣きがある。しかし、すぐにこの悪ふざけにも似た行為は何なのだろうという疑問が私たちを襲う。そ
【Interview】『あきらめない映画 山形国際ドキュメンタリー映画祭の日々』著者 山之内悦子さんインタビュー
隔年で開催され、今回も約2万人を集め、去る10月に閉幕した<山形国際ドキュメンタリー映画祭2013>(※以下、ヤマガタ)。この開催期間中、市川昭男山形市長が手にとったことを開会式の挨拶時に明かすなど、ある一冊の本が話題を
【リレー連載】ワールドワイドNOW★パリ発/新しいドキュメンタリーのかたち:WEBドキュメンタリー text 高橋晶子
『gare du nord』 フランスで「ウェブドキュメンタリー」という言葉を耳にするようになって数年が経つが、ここ最近になってようやく変化を見せ始めた。劇場公開やテレビ放映がすでに終わった既製のドキュメンタリーをオンデ
【Review】『祭の馬』(松林要樹監督)クロスレビュー
あす12/14から劇場公開される、松林要樹監督の最新作『祭の馬』。この映画は、文字通り「ワケあって、おちんちんがハレちゃったある馬の数奇な運命」を辿る話なのだが、思えばかつて、これほどまでに「馬」をじっくりとみせてくれる
【Interview】『ある精肉店のはなし』纐纈あや監督 text 岡田尚文
11月29日より「いい肉の日」から『ある精肉店のはなし』がポレポレ東中野で公開されている。監督の纐纈(はなぶさ)あやさんが、大阪府貝塚市のとある精肉店(北出精肉店)に長期間にわたり取材しまとめあげたドキュメンタリーだ。纐
【Report】『うらぎりひめ』(監督:岩名雅記)宣伝リポート text 歌川達人
舞踏家 岩名雅記監督の『うらぎりひめ』 「舞踏」という身体表現をご存知だろうか?舞踏家は、「生まれてから現在までの生きられた時間を内包する身体」を用い、その圧倒的な身体表現を観客に見せつける。今回紹介する岩名雅記という