【Review】がんを楽しむ〜『いのちを楽しむ 容子とがんの2年間』text 青木ポンチ
日本人の死因のトップ3と言われる「がん」。ほか二つの「心臓病」「脳卒中」を引き離し、メディアなどでも盛んに取り上げられ、語らえる機会の多い、特別な病気だ。確率的にはありふれているのに、とりわけ難病で、不幸なイメージがつき
【ドキュメンタリストの眼⑦】 羽田澄子監督インタビュー text 金子遊
neoneo編集委員の金子が、この列島を代表するドキュメンタリストにロング・インタビューを試みるシリーズ。 羽田澄子はドキュメンタリー映画界を代表する作家である。1926年に旧満州の大連で生まれ、戦後は東京へ戻って創業か
【リレー連載】列島通信★名古屋発/「映像アート90年史 ~愛知県文化情報センター所蔵作品を中心に~」の舞台裏 text 越後谷卓司
愛知芸術文化センターでは、2013年6月7日(金)~9日(日)、18日(火)~20日(木)の会期で、「映像アート90年史 ~愛知県文化情報センター所蔵作品を中心に~」を開催している〈http://www.aac.pref
【リレー連載】列島通信★大分発「誰かの思い」とミニシアター text 田井肇
昨年末あたりからだろうか、私の劇場の入場者数が微増している。映画の入りは作品によってまちまちで、増えるときもあれば減るときもあるので一概には言えないが、12月から4月まで、毎月、昨年、一昨年を上回っているのはたしかだ。も
【Review】飯舘村を考える―『飯舘村 放射能と帰村』と『わすれない ふくしま』text 岩崎孝正
福島県相馬郡飯舘村は、阿武隈山系の北部にある人口約6000人、世帯数は1700戸の小さな村である。夏は阿武隈高地からヤマセが吹き、冬は寒さがとくに厳しい。数年に一度は不作が訪れるといわれる村である。厳しさとともに歩んだ村
【Review】『黒澤明の十字架』指田文夫著 text 越後谷研
黒澤明はなぜ、戦争に行かなかったのか? 著者はあるとき、ウジウジ悩んでばかりいる三船敏郎を主人公とした『静かなる決闘』 (1949)を見て、そのような疑問を抱く。これが出発点となり、戦争を体験しなかった黒澤が、その思いを
【Review】経済から遠く離れて 濱口竜介『親密さ』text 鈴木並木
みんなやっきになって、『親密さ』を推薦するためのこれぞという言葉を探してる。演劇にも強い映画ファンの某さんに言わせれば、「ここが現代演劇と映画の衝突点」なのだそうだ。とあるシネフィル氏は、アメリカやフランスの映画監督を次
【Review】『犬と猫と人間と2 動物たちの大震災』 text 吉田未和
この映画の特徴のひとつは、何よりもまず目線の低さにある。この視界が与えるイメージは、愛犬や愛猫とともに暮らしている人には、もしかしたらすでに見慣れた風景かもしれない。だが、わたしたちの多くにとっては初めて見るか、少なくと
【Report】90歳のジョナス・メカスを追いかけて 第1回(全3回)~パリ・前編~ text 小山さなえ
2012年のクリスマスイブに90歳の誕生日を迎えた、ニューヨークを拠点に活動するリトアニア人映像作家、ジョナス・メカス。そのカリスマ性で世界中にファンを持つ。名前は知っていたが、私が彼の映画をきちんと観たのは、たった1年
【Interview】土門拳賞受賞作品展「AFRIKA WAR JOURNAL」亀山亮さんに聞く text 丹羽理
亀山亮(かめやま・りょう)氏の『AFRIKA WAR JOURNAL』(リトルモア)が、第32回土門拳賞(毎日新聞社主催)を受賞。受賞記念作品展が、銀座ニコンサロン(4月24日~5月7日)と大阪ニコンサロン(5月16~2
【特別寄稿】特集上映『大島渚のドキュメンタリー』に反射的に挙手 text 冨永昌敬
川崎市市民ミュージアムにて開催中の『追悼特集 大島渚のドキュメンタリー』では、18本もの大島渚監督のドキュメンタリー作品を見ることができる。僕はその最終日にあたる5月26日に開催のトークショーに参加させてい
【リレー連載】列島通信★山形発/移民/越境者を見つめること、その「観客」として text 畑あゆみ
3月28日から31日の4日間にわたり、第1回ベルリン国際映画祭in仙台が開催された。世界三大映画祭の一つベルリナーレが公式にバックアップする世界でも稀な映画の祭典であり、震災から2年を経た仙台の地で、近年のベルリン映画
【Interview】『三姉妹~雲南の子』ワン・ビン監督インタビュー text 萩野亮
『鉄西区』(2003)、『鳳鳴-中国の記憶』(2007)、そして初の長篇劇映画『無言歌』(2010)において、中国現代史をつぶさに見つめてきた映画作家ワン・ビン(王兵)の最新作は、中国西南部・雲南省の、海抜3200メー
【追悼】岩佐寿弥監督を悼む text 佐藤寛朗 (neoneo編集室)
さる5月4日、岩佐寿弥監督が亡くなられた。78歳だった。 5月3日に宮城県大河原市で行われた『オロ』上映会の後、宿泊先で階段から転落し、脳内出血で亡くなったという。このゴールデンウィークも各地で上映会が予定されており
【記録文学論】第7回 石原吉郎『海を流れる河』text 中里勇太
「いつの頃からか私には、海を流れる河というイメージが定着し、根をおろしてしまった」(石原吉郎「海を流れる河」) 敗戦後、ハルビンから旧ソ連領へ移送され、その後8年あまりのあいだ収容所での日々を送った、詩人
【Report】アジア映画の潮流を肌で感じる10日間@第8回大阪アジアン映画祭(後編)text 江口由美
後編:女性監督の活躍とそれぞれの“越境”~注目作品紹介 前編では、大阪アジアン映画祭(以下OAFF)とその変遷について触れ、OAFFの特色や他映画祭にはない試みを紹介してきた。 特別招待作品部門、コンペティション部門のア
【自作を語る】ブルーノプロデュース『My Favorite Phantom』 text 橋本清
みなさん、はじめまして。ブルーノプロデュースという劇団の主宰と演出の橋本清です。この度は「自作を語る」を書かせてもらえる機会を頂けたので、今月末に控えている新作公演『My Favorite Phantom』について綴って
【Report】アジア映画の潮流を肌で感じる10日間@第8回大阪アジアン映画祭(前編)text 江口由美
前編:大阪アジアン映画祭の特色を探る 私が大阪アジアン映画祭(以降OAFF:http://www.oaff.jp/2013/index.html)に携わってから早いものでもう5年が経とうとしている。地元大阪の一映画ファ
【Interview】『観ずに死ねるか!傑作ドキュメンタリー88』編集者・尾形誠規さんインタビュー
『neoneo 02』と期を同じくして発売されたこの一冊の本に、私は正直、やられた!と思った。表紙のインパクトもさることながら、中身がとにかく面白い。執筆者たちが実に生き生きと、自分本位に作品への思いを語っている。この
【自作を語る】カネミ油症の被害者たちに出あって―『食卓の肖像』制作記 text 金子サトシ
皆さんは、「カネミ油症事件」をご存知でしょうか。1968年、福岡、長崎をはじめ、西日本一帯で、カネミ倉庫株式会社が製造した食用油、「カネミライスオイル」を食した人たちが様々な健康被害を訴えたものです。被害者数は実態調査自
【自作を語る】『異国に生きる 日本の中のビルマ人』 text 土井敏邦 (監督)
長年、パレスチナを追いかけてきた私が、「在日ビルマ人」を追うことを思い立ったのは、1988年8月のビルマ民主化運動から10周年迎える1998年の夏だった。遠い異国・日本で祖国の民主化のために闘い続けている青年たちの姿に、
【Review】福島(フクシマ)から長崎(ナガサキ)へ――映画『夏の祈り』を観る text 岩崎孝正
1945年8月9日午前11時2分、太陽のような明るい光はあたりをつつんで一つの街が吹きとんだ。熱線と爆風は数㎞におよび、病院、橋梁、家屋をはじめ先人の築いた英知は一瞬で姿を消した。長崎県松山町の土地の者は故郷を失い、亡